クライアント様は、営業を終了していたホテルを買い取り、 必要最小限の範囲を改修して新規にオープンさせたいとのお考えでした。
既存建物にどこまで手を入れるべきかをクライアントと我々で相談しながら決めていくところからプロジェクトがスタートし、最終的にフロント・ロビーのデザインを一新、朝食提供スペースを設ける、客室は最小限の改修、 外観は変えずに防水メンテナンスとサインの架け替えといった工事内容が決定しました。
デザインとして、まずは古い既存建物に対して径年変化で味わいが感じられる素材を採用することで時間ともに建物全体が馴染んでいくような空間を目指しました。
床や壁は左官仕事によるモルタル仕上げ、什器は集成材を主に用いています。
プランでは朝食提供時の混雑を緩和できるよう、提供から着席、返却まで一筆書きの動線となるよう計画しました。
さらにホテルの目の前が駅のホームであり、ホテル側の床の高さと駅のホームの高さが揃うことから、ホームのにぎわいをカフェラウンジに取り込こめるよう視線の抜けをコントロールすることで朝の活動的なイメージの創出に寄与しています。
駅から見えることでホテルの宣伝にもなり、都市を巻き込んだ独自の空間となりました。
竣工後すぐのオープンとなりましたが客足は好調で、朝食提供も効率よく行えていると高い評価をいただいております。
費用:約3,500万円