従来、日本の家屋では、戸建てでもマンションでも「和室」があるケースがほとんどでした。しかし、現代の洋風なライフスタイルとは合わないことが多く、ご自宅にある和室を持て余してしまっている方も多いのではないでしょうか。
そんなときにおすすめなのが、和室を洋室や和モダンな空間にリノベーションすることです。リノベーションによって持て余していた空間を有効活用することができるでしょう。
しかし、和室をリノベーションするにあたって「どんな点に注意して工事すればいいのか」「リノベーション費用はどれくらいかかるのか」などが気になる方も多いでしょう。
そこでこの記事では、和室のリノベーション・リフォームに関するポイントや注意点などについて、詳しく解説していきます。ご自宅の和室の取り扱いに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
目次
和室とは
私たち日本人には馴染みの深い「和室」ですが、リノベーションやリフォームについて確認する前に、まずはその定義を確認しておきましょう。
和室とは、日本の家屋に昔からある伝統的な部屋のことです。日本人のアイデンティティが感じられる空間なので、和室はなぜか落ち着くと感じる人も多いでしょう。
和室には「床の間」や「襖」など、洋室とは異なる数々の特徴がありますが、特に代表的なものとして、床材に「畳（たたみ）」が使われている点が挙げられます。
このように、伝統的な日本文化と深い関係にある和室ですが、現代のライフスタイルとは合わないことが多く、自宅の和室を持て余している人も多いのが現状です。
和室リノベーションとは
「和室リノベーション」とは、あまり使わなくなった自宅の和室を、現代的で使い勝手のよい空間に生まれ変わらせることを意味します。
先述の通り、自宅に和室があっても、なかなかそれを有効活用できずにいる方が多くいます。
しかし、和室を使いやすい洋室へチェンジしたり、和の雰囲気を活かした和モダンな空間にしたりできれば、家の中の空間をより有効活用できます。
近年では、築古物件をリノベーションして住むのも一般的になり、その過程で和室リノベーションを選ぶ方が増えてきています。
和室リノベーションと和室リフォームは何が違う？
「和室リノベーション」と似た言葉に「和室リフォーム」がありますが、これらは少々ニュアンスが異なります。
一般的にリノベーションとは、住み心地を改善させることを主な目的として行う、大がかりな修繕工事を意味します。そのため、和室から洋室・和モダン空間などへ部屋を一新させる工事の場合は、和室リノベーションと呼ぶのが適切でしょう。
一方、リフォームの意味はもっと広く、老朽化の改善など、原状回復を目的とした修繕工事も含めて使われます。そのため、和室を活かしたまま畳などを新調する工事の場合は、和室リフォームと呼ぶ方がイメージしやすいでしょう。
とはいえ、これら2つは厳密に定義されているわけではなく、大がかりな和室の修繕工事が和室リフォームと呼ばれることもあります。
和室のリノベーション・リフォームはDIYできる？
和室のリノベーション・リフォームを行う際、業者に依頼せずにDIYで行いたい方も少なくないでしょう。
和室リノベーションにおいて主軸となる作業は、畳からフローリングへの張り替えです。単純に畳を外し、フローリング材を張るだけの作業であれば、DIYするのは不可能ではありません。
しかし、畳の下には断熱材が入っていないことが多いので、ただ表面をフローリングに張り替えるだけだと、夏暑く、冬寒い床になってしまいます。
そのため、住み心地を最優先させたリノベーション・リフォームを目指すのであれば、DIYではなく、プロの手に委ねる方が賢明だといえるでしょう。
和室をおしゃれにリノベーション・リフォームする選択肢
和室をおしゃれにリノベーション・リフォームさせたいのであれば、以下の2つの選択肢のいずれかを選ぶのがおすすめです。
- 和室から「洋室」へ
- 和室を活かした「和モダンな空間」へ
それぞれの詳細について、以下で確認していきましょう。
選択肢① 和室から洋室へ
和室のリノベーション・リフォームの件数で昔から人気があるのは、和室を洋室へ変更する工事です。
和室は床が畳なので、家具や家電を置くのに適していない場合が多く、無理に置くと跡が付いたり汚れが付着したりします。また、換気や日当たりなどに気をつけないと、畳の下にカビが発生したり、ダニが住み着いたりといったデメリットも生じます。
その点、床材をフローリング化した洋室であれば、家具・家電も自由にレイアウトでき、カビやダニが発生する心配もありません。
そのため、使い勝手の楽さを優先させるリノベーションの場合は、洋室への変更を検討するとよいでしょう。
選択肢② 和室を活かした和モダンな空間へ
和室のリノベーション・リフォームで近年人気を高めているのが、和室の雰囲気を活かして洋室と折衷させた「和モダンな空間」にする工事です。
この場合、もともとある畳はそのまま残して活かしたり、フローリングと組み合わせて使用したりします。その際、使いやすく見た目がおしゃれなこともあり、正方形で縁のない「琉球畳」がよく選ばれます。
和室を和モダンな空間へリノベーションすると、洋室化するほど大きな手間がかからないので、工事費用を安く抑えられることが多いです。また、もともとの和の雰囲気が残るので、和室独特の居心地のよさが捨て切れない人にも、おすすめの選択肢だといえるでしょう。
和室を洋室にリノベーションする際に失敗しないためのポイント
和室を洋室にリノベーションする際は気をつけないと、思ったほど使い勝手がよくなかったり、かえって使いにくくなったりと失敗してしまう可能性もあります。
ここでは、和室を洋室へリノベーションする際に注意したいポイントを2つご紹介します。
ポイント① 床の高さに注意する
和室を洋室へリノベーションする際、まずは床の高さの違いに注意が必要です。
畳みとフローリングは厚みが違うので、単純にそのまま張り替えるだけだと、高さが変わってしまいます。その結果、隣接する部屋の床と高さが異なり、使い勝手が悪くなる可能性があります。
そのため、和室の畳をフローリングに張り替える際は、下地材を入れるなどして、隣接する部屋と床の高さを揃えるように工夫しましょう。
ポイント② 床の防音性・断熱性に注意する
和室を洋室へリノベーションする際は、床の防音性や断熱性についても気を配る必要があります。
一般的な畳に使われている藺草（イグサ） には、自然の防音性と断熱性が備わっています。その一方、フローリング材にはそのような機能がありません。
その結果、畳を単にフローリングに張り替えただけだと、冬場に足が冷たく感じられたり、階下に足音が響いてトラブルになったりする可能性が出てきます。
そのため、和室の畳からフローリングへの張り替え時には、必要に応じて防音材や断熱材を敷いて対策を取ることが大切です。
和室を和モダンな空間へおしゃれにリノベーションするためのポイント
和室の雰囲気を活かした和モダンな空間へのリノベーションにおいては、効果的におしゃれさを演出するために、3つのポイントを押さえておくことが大切です。
1つずつ詳しく確認していきましょう。
ポイント① 壁紙をおしゃれな色にする
和室を和モダンな空間にリノベーションする際は、壁紙をおしゃれな色にすると、こだわりのある空間を演出できます。
たとえば、敢えてブルーやグレーなどのソリッドな配色の壁を採用すれば、ただの和室とは違うクールな印象に仕上がるでしょう。そして、アクセントとしてオレンジやグリーンなどの壁紙を取り入れれば、空間が華やいだ印象になります。
また、壁紙を選定する際は、色だけでなく素材感も重要なポイントです。ホワイトやベージュなどの定番カラーであっても、塗り壁調の壁紙などを採用すれば、おしゃれなこだわりをさり気なく主張できるでしょう。
ポイント② 畳のデザインや形にこだわる
和室の雰囲気を活かすため、敢えて畳を残す選択をする場合は、畳のデザインや形にこだわるとよいでしょう。
近年では和モダンなリノベーションへの需要が高まったことから、さまざまなデザインや形のおしゃれな畳が多数販売されています。その中でも、縁がなく正方形をした「琉球畳」は、主張し過ぎずあらゆる空間に馴染みやすいので、おしゃれなリノベーションでよく採用されています。
畳の色も、イグサ本来の緑色以外に、ブルーやグレー、ブラウンなど多数リリースされているので、お部屋の雰囲気に合わせて選んでみましょう。
ポイント③ 隣接する部屋との相性に気をつける
和室を和モダンな空間にリノベーションする際は、隣接する部屋との相性にも注意しておきましょう。
上述したように、和モダン空間は施主の希望やこだわりを反映し、独自のおしゃれな空間に仕上げられます。しかし、その部屋のおしゃれさだけを考えて設計すると、仕上がった後にそこだけ浮いて見えるといった失敗に繋がりかねません。
そのため、和モダン空間の壁紙色や、畳のデザイン・形などを検討する際は、周辺の部屋を含めた全体像にも気を配り、バランスのよいデザインにすることが大切です。
和室リノベーション・リフォームにかかる費用相場
ここでは、和室をリノベーション・リフォームする際の費用相場について確認しておきましょう。
一般的な6～8畳前後の和室の場合だと、洋室へのリノベーションにはだいたい50～100万円超の費用がかかります。
その一方、和室の一部を活かした和モダンな空間にする場合は、コストを抑えた工事が可能なので、30～70万円程度で収まる場合もあるでしょう。
とはいえ、実際にはどこに手を加えるか、どんなグレードの建材を使うかなどによって、費用は大きく前後するので注意してください。
なお、和室のリノベーションでよくある工事内容と、それぞれの相場金額の詳細は以下の通りです。
| 工事内容 | 一般的な費用相場（6～8畳） |
| 畳からフローリングへの変更 | 10～35万円 |
| 壁・天井のクロスの張り替え | 10～20万円 |
| 押し入れからクローゼットへの変更 | 10～50万円 |
| 襖や障子をドアや窓に変更 | 5～20万円 |
和室から洋室・和モダンな空間へのリノベーション・リフォームの施工実例
ここでは、和室を洋室・和モダンな空間へ変えたリノベーション・リフォームの実例を、4つ厳選してご紹介します。
これから和室のリノベーションを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
和室のリノベーション実例①
こちらの施工実例では、もともと和室だった空間とその隣室を、一続きのリビング・ダイニング空間へとリノベーションしています。
木目調と白いクロスで仕上げたリビングには、大容量の収納スペースを設け、すっきりしながらも使いやすい空間に仕上がっています。
こちらが、リノベーション前の状態です。印象が変わったこともさることながら、それぞれの部屋が一続きになったことで、空間がより広く感じられます。
和室のリノベーション実例②
こちらの施工実例では、もともと和室だった空間を含めた3室をリノベーションし、家族みんなが集まる22.5畳の大空間LDKに仕上げています。
リビングの中央には壁掛けテレビ用の壁が配置され、各空間をゆるやかに仕切っています。
こちらが、リノベーション前の状態です。広々としながらも持て余していた和室空間が、家族で過ごしやすい空間へと生まれ変わっています。
和室のリノベーション実例③
こちらの実例では、和室と廊下の境界を無くし、約18畳の広々としたLDKにリノベーションしています。
築28年の住宅が、新築住宅のような住まいに生まれ変わっています。
もとは和室であった場所をリノベーションしています。
同じ実例で、もう一つのビフォーアフターをご覧ください。
押入れと床の間だったところは、アクセントウォールと間接照明でおしゃれな空間に。
ブラウンのフローリングが空間を引き締めています。
こちらも、もとは和室であった場所をリノベーションしています。
まとめ
今回は、和室のリノベーション・リフォームについて、注意点や費用相場、おしゃれに仕上げるためのポイントなどについて、詳しく確認してきました。
和室は伝統的な空間で居心地がよい一方、現代的な生活スタイルでは使い勝手が悪いこともあります。そのため、現状のままで有効活用できていない場合は、洋室や和モダンな空間にリノベーションすることをおすすめします。
ミサワリフォーム関東では、お客様のニーズに合ったリノベーション・リフォームを数多く手がけて参りました。
和室のリノベーションについて何かお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。
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